映画大好き、クマです!
最近生活に刺激が足りないな…と感じ「何かいい映画ないかなぁ~」とPrime Videoをピコピコ見ていたら、見つけてしまいました。
スペイン映画『プラットフォーム』
この映画、社会・人間の恐ろしさについてかなり思考をめぐらされる名作です!
作中に描かれる「穴」という社会のヒエラルキーに映し出される人間醜さ、弱さ、はかなさについて深く考えさせられます。
生きるとはどういうことなのか…
映画のあらすじがこちら↓
巨大な台座に乗った食事が、上層階から順に運ばれてくる牢獄。下に行くほど飢餓と絶望が待ち受けるその縦の仕組みを壊すべく、男たちが立ち上がる。
気になるぅ〜!
なんだかSAWとかCUBEを彷彿とさせるソワソワ、ハラハラする感じが気になり、すぐに観始めました。
結論としては、グロいの大丈夫なら絶対に観たほうが良い!
単純にグロいのではなく、考察するととても奥深い内容になっています。
では、ここから序盤のみネタバレありのレビューを御覧ください。
プラットフォームが降りてくる
美しい高級ホテルの調理場のような場所からスタート。支配人が次々と料理の質をチェックしていく。
「ん?何このシーン?」と思っていると暗転し、誰かのセリフが流れます。
「3種類の人間がいる。上にいる者、下にいる者、転落する者」
主人公ゴレンが目を覚ますと、そこには一人の男性老人。
ゴレン「穴か…」
なぜかこの場所を知っているゴレン。
老人「問題は何を食うかだ」
ゴレン「何を食う?」
老人「上の者の食べ残しだ」
老人は何を言ってるんだ。。。
ゴレン「俺はゴレン(握手の手を伸ばす)」
老人「こちら側へは来るな」
老人は警戒してゴレンと握手もしません。
部屋には『48』という数字。
その下には緑と赤のランプ。
部屋の真ん中には上下の階層に繋がる大きな穴。
異様な空間に閉じ込められたゴレン。
老人が言うには『第48層』は
良い方の階層とのこと。
ゴレンが困惑していると
老人はおもむろに枕を手にし
穴のそばに置きました。
すると突然緑のランプが光り
上と繋がる穴から巨大な台が
大きな音を立てて降りてくる。
乗っている食べ物は、
どれもグチャグチャの悲惨な状態。
降りてきた汚い食べ物を
貪るように食べ始める老人。
その姿にゴレンはドン引きします。
ゴレン「食べ残しだぞ。気持ち悪い。」
汚いものを見る目で
老人を眺めるゴレン。
「食べないのか?」
老人は貪りながら言います。
「本当に食わないのか?」
老人からの問いに
人の手のついてなさそうなリンゴを
手に取ってしまうゴレン。
老人は不敵な笑みを浮かべます。
台が下に降りていくと
空間が異常に高温になりはじめる。
老人いわく食べ物を食べていいのは
第48層に台があるときのみ。
食べ物を取っておくと
焼け死ぬまで温度が上がり続けるか
凍死するまで温度が下がるとのこと。
翌日もゴレンは食事を取りません。
その翌日、
意地を張っていたゴレンも
ついに上の者が残した食べ物に
手を伸ばし始めました。
だんだんと環境に適応していき
最初はお互いに牽制していた老人とも
少しずつ親しくなっていきます。
一緒に残り物を食べ
笑い合いながら
それなりに楽しく毎日を過ごします。
「お前が好きだ」
ある日の夜
老人は寝る前にゴレンに告げました。
事態は急変する
老人と二人
奇妙な空間での生活が始まって1ヶ月。
事態は、急変します。
冒頭と同じ目覚め方をするゴレン。
しかし、今度は様子が違いました。
ベッドに身体の縛り付けられ
全く身動きが取れません。
隣にはナイフを持ったおじさん。
壁には『171』という数字。
この絶望的な状況に
果たしてゴレンはどう立ち向かうのか
続きは、ぜひ作品を見てほしいです!
『人間』を描いた作品
初めてですよ。
ここまで『人間』の醜さを描いた作品は…。
汚い、グロい、裏切り
嫌な気分になる3点セットの
てんこ盛りです!
間違っても
初デートで観たらアウトな映画ですね。
確実に別れることになるでしょう。
最初から最後まで
ずーっと嫌な気分になります。
しかし
話がテンポよく展開されるので
最後まで飽きずに楽しめました!
描かれていること
この映画には
強いメッセージ性があります。
面白いと感じるかは
人によって全然違うと思います。
私は、すごく面白いと思いました!
(途中で気分が悪くなる人もいるかも)
『穴』は社会を表しています。
社会には無数のヒエラルキーが存在します。
家庭、友達、学校、会社、国など。
私たちの周りにあるもの全てに
ヒエラルキーは存在するのかもしれません。
プラットフォームでは
わかりやすく自分の階層が設定されています。
映画のように自分のいる位置が
数字でわかればカンタンですが
実際の社会では少々難しいです。
各ヒエラルキーで
自分がどの位置にいるか
考えたことはありますか?
自分がどの位置にいるかというのも
上と下にいる存在を知らないとわかりません。
自分だけの世界で生きていたら
上も下もないですもんね。
あなたは自分の上にどれだけの人がいて
下にはどれだけの人がいると思っていますか?
世界は平等ではない
ヒエラルキーの下にいる人たちが
飢えに苦しんでいるときも上の人たちは
好きなものを好きなだけ食べられるんです。
下の人は
食べ残ししか食べることができません。
使い捨てた服しかもらえません。
きれいな水も飲めません。
下の人がどれだけ叫んでも
上の人の耳には一切届きません。
下の人が苦しんでいても
上の人は全く気付きません。
逆に
上の人が下の人を説得しようとしても
下の人は言うことを聞きません。
「こうしたほうがいいよ」
上の人が伝えても
「俺たちの勝手だろ」
下の人たちは反発します。
結局上の人から脅しをかけないと
言うことを聞いてくれないんです。
聞く耳を持たないのは
実は、上も下もお互い様なんです。
実際の世界で考えると
お金を持った国が
開発途上国に学校を建てても
そもそも学校に通えない子供がいます。
毎日何十キロも歩いて
汚れた水を汲みに行っているんです。
医療だって
まともに受けることができません。
明日生きられるかが大事なんです。
そんな子たちが
遠い未来のために
今勉強できるでしょうか。
学校を建てて満足した気になる、
先進国の身勝手さを少し感じます。
もちろん何もしないよりはいいことです。
しかし、実際に生活している
子どもたちの意見は
どれほど聞いているのでしょうか?
子どもたちが毎日何を思っていて
何を夢描いているか
学校を建てている人たちは
知っているのでしょうか。
私自身がなにもしていないので、
あまり大きな声では言えませんが…。
自ら落ちていく人
また、映画の冒頭にあるように
『転落する人』もいます。
上にいたのに
自分から落ちていくんです。
落ちていく理由はさまざまです。
ここ数年よくあるのは
芸能人たちの不倫問題ですよね。
TVで観ない日はないくらいの人気者が
しょうもない欲望を抑えられず
誰かをひどく傷つけたことで
関係のない人たちが異常に反応し
不倫をした芸能人を地に落とします。
誰かの落ちていく様子を見てもなお
自分も不倫をしてしまう人がいます。
なぜ学ばないのか、不思議ですよね。
落ちるのはカンタンだけど
再び上がるのは不可能に近いです。
一度落ちた人が再び這い上がるのは
社会ではとても難しいことです。
芸能人の例で言えば、
一般人の私でも大変だとわかるのに
どうして不倫を我慢出来ないのか
非常に不可解です。
下の人が上に上がるためには
上の人からの助けや
社会の仕組みをぶっ壊す
そういった特別な力が必要です。
映画『プラットフォーム』の中でも
その点は色濃く描かれています。
目覚めた時点で
勝手に自分の位置を決められる不条理に
穴というヒエラルキー(社会)に
懸命に立ち向かうんです。
キレイさと汚さ
この映画ではとてもキレイなシーンと
汚くて見ていられないようなシーンが
繰り返し描かれます。
社会にあるキレイさの裏には
必ず汚い世界が存在するのだと感じました。
異常事態が起きたとき
人は本性が露わになります。
実際の例では
震災・自然災害のときに
空き巣被害が増えるといった
ニュースを聞くこともあります。
悲しいですよ。
離れたところから募金する人
ボランティアに行く人
力になりたいと行動する人がいる中
自分が生きるために
平気で人を傷つける人がいます。
生きて行くのに必死で
人のものを奪ってまで
自分が生きようとします。
でもその『生』への渇望が
人の本質なのかもしれません。
生き抜く力なのかもしれません。
罪を擁護するわけではありませんが
死を感じたときに生に縋りつこうとする
それだけ強い人とも言えます。
『プラットフォーム』を観て
生と死を強く感じました。
生きるとはどういうことなのか
壮大なテーマを感じる映画です。
生きていることに悩む人が観たら
いろんなことを考えさせられる
とてもいい映画だと思います。
ぜひ観てほしいです。